翻訳のヒント[バックナンバー]

2021年3月 翻訳のヒント(英訳) - ついやってしまう日本人英語

 英語に多少自信のある方でも日本語の環境にどっぷりつかっていると、つい無意識的に不適切な英語表現をしていることがあるものです。今回は、そのような例を3つ挙げてみます。

1. (例)聴衆の一人が質問した。

「聴衆」は audience です。また、”one audience” とは言えないことを理解している方は多いと思いますが、そういう方でも時として、つい次のように言ってしまいます。

(誤)One of the audience asked a question.

何人かいる聴衆の中の1人ですから、in the audience ですが、そのまま置き換えるとおかしいので、Someone in the audience asked a question. とするとよいでしょう。

2. (例)最近、本校でも帰国子女が増えてきました。

「帰国子女」をうっかり returned children として次の英文を書いていませんか?

(誤)Returned children have been increasing in our school recently.

Returned children では、「送還されてきた子供たち」の感じになってしまいます。よって、returning childrenreturnee children とします。すでに帰国してしまっていても returning children でいいのですが、気になる方は returnee children を使うといいでしょう。また、増えているのは人数ですから the number of を入れるともっと明確になります。

(訂正例)The number of returnee children has been increasing recently.

3. (例)十分な車間距離を取って下さい。

(誤)Please keep car distance.

“distance” だけでは2つの物(上の例では自分の車と前の車)の間の距離という意味をあらわすことはできないので、between が必要です。

(訂正例)Leave plenty of distance between you and the vehicle in front of you.

上の3つの例でどこが問題か、すぐわかりましたか?これらはついうっかりやりがちな間違いです。こういう間違いをなくするためには、自分が間違った例文をカードやノートに書き出しいつも身近に持ち歩き、繰り返し見返すことが有効です。



*****


過去の翻訳のヒント
その他関連項目